フーコー『言葉と物』新装版に思うこと
フーコーの『言葉と物』という著作をご存じでしょうか。
原著は1966年にフランス語で出版されたLes mot et les choseというタイトルなのですが、日本語訳では1974年に新潮社から出版されました。
価格:4,950円 |
もう45年も前の翻訳ですから、訳文が正確かどうか、最新の研究を踏まえた翻訳にすべきではないかなど、様々な意見が飛び交っています。
そんな『言葉と物』ですが、このたび新装版が出版されるそうです。
新装版というのは、新訳というわけではないので、強いて言えば新たな解説文が付録として加わったりするだけなので、このことに対しても賛否両論あります。
私としては、フーコーの主著と呼んでもいいほどの『言葉と物』ならば、せめて文庫として出版しなおすべきだと思いますね。
もちろん版権だとか、諸々の事情で難しいのでしょうが、とにかく廉価版で世に出ないことには、お金のない学生にはとてもとても、購入できた代物ではありません。
しかしこの本それ自体は、私はフーコーの主著だと思っていますし、人文科学を研究する上では必読書だと思っています。
とりわけ第9章および第10章で登場する「人間の終焉」に関する議論は、現代の人文科学の意味を考える上で欠かせませんし、これを読むことで私も、人文科学を研究することの意味というものを改めて考え直しました。
そんな哲学史上まれにみる重要書が、箱入りのハードカバーで5000円で売られているのは、どう考えても学術界にとっては不合理的です。
私の希望は、ぜひ岩波文庫、あるいはちくま学芸文庫に入れるべきだと思います。
もともとちくま学芸文庫には、フーコーコレクションも入っているのでなんで主著は文庫化しないんだ!と憤っていました。
せめて新潮文庫でもいいから、手に取りやすい廉価な文庫になってほしい…。
そんなかなわぬ希望を願っております。
今日はここまで。それでは。